触覚とアイデンティティー
むすめに触覚ができました。
といってももちろん本当の触覚が生えたのでも、コスプレとかでもありません。
髪型です。
最近、
「髪切りたい」「髪切りたい」としきりに言っていると思ったら
「あー髪のばしたい!」
どっちなんですか…?と思っていました。
そしてある時突然「ママ、髪切ってくれない」
「今?」
「そう、できれば」
(平日の夜の話です)
「(なぜ)いま(この時間に)???」
聞いてみると、顔の両脇のサイドの髪の束を短めに切って欲しいとのこと。
前髪は時々切ってあげているのですが、こういうオーダーは初めてなので、緊張しつつ本人のリクエストに応えて切ってあげました。
いわゆる「姫カット」のような、短くした束が少し少なめバージョンのような感じです。
本人はいたく満足の様子。
どうして触覚が必要なのかといえば、まずはやっぱり長い髪がいいな、と思ったそう。
もともと髪は長めだったのですが、去年の冬に衝動的に肩につかないくらいに短く切ってしまったのでした。
それをもとに戻したいと。
そして、髪が長くなると、体育の授業で結ばないといけないことになる。
でも、髪を結んで顔が全部あらわになるのは抵抗があるとのこと。(マスクしてますけどね)
むすめは小学生時代に人間関係で大変だった時があり、その時から外出するときはマスクをしたがるようになりました。
精神的な防御アイテムだったのだと思います。
中学受験をして、同じ小学校出身の子が一人もいない中学に行くことが決まったころ
「中学ではマスクはしないことにする」
と言っていたのですが、その頃コロナ禍が始まり、マスクをするのが一般的な世の中になってしまいました。
結局、引き続きマスク生活が続いています。
そういう経緯と、たぶん中学生になって情緒的にも不安定になりがちなお年頃になってきたのもあり
あまり自分の顔を出したくない、という精神状態なのかもしれません。
マスクをしていても、髪を一つに結ぶと顔の横がすっきりしすぎて不安なのかな。
コロナによるマスク生活も長期化して、人前に自分の顔をあらわにしないことに慣れてしまったのもある気がします。
大人の私ですら、外出時にマスクしないのは何か心もとない気がしますし。
そうそう、髪型の話でした。
そういうわけで、触角ヘアになったむすめ。
最近はさらに進化をとげていて、第2の触角的な、細めのツーサイドアップ(サイドの一部の髪を束ねた髪型)を作り、
日によってはさらにそれを「くるりんぱ」にして、ちょっと猫耳っぽくも見えるようにしています。
学校の髪型規則はそれほど厳しくはないので、これくらいなら許容範囲のよう。(たぶん。)よかった…
そして、近ごろ学校に行く前にはこの触角ヘアを整えることに余念がない様子。
時間がかかります。
そのために、早起きする日も。(何はともあれ、自発的な早起きは大歓迎。)
朝、私がキッチンでお弁当を作っているとやってきて、
「ねえねえ、後ろ。」とヘアアイロンを突き出し、自分でうまくできない後ろ髪の毛先を整えてほしいと要求してきたりするのが
ちょっとかわいい、中学2年生です。
小学校の頃は逆にまったく身の回りの装いを気にせず、髪の毛をとかすのを嫌がり、頭の後ろは鳥の巣のような状態だったこともあるので
今のこの様子はなかなか感慨深いものがあります。
マスクの話に戻りますが、むすめは以前はダークカラーのウレタンマスクや布マスクをしていたのだけれど
最近は白い不織布マスクになっています。
「黒いのやめたんだ?」と聞くと、
「だって周りの人ほとんどこういうのだから…¢£%#& !?」。
以前は周りの人は関係ない、私は黒なんだ、というとんがったオーラを漂わせていた彼女がこんなこと言うなんて。
いま通っている中学校のおかげか、同級生の中に結構なじんできたのかもしれない。
こんな不思議ちゃんを受け入れてくれて、なんて優しい子たちなんだろう!と感謝したい気持ちです。
(受け入れてくれてるかは不明ですけど)
こういうむすめの様子を見ていると
周囲の人に溶け込みたい気持ちと、自分だけのアイデンティティーを求める気持ち
その間で揺れ動いているのかなーと感じます。
ある意味、中学生らしいのかもしれません。
先日も、同じクラスの子でむすめと同じ傘を使っている子がいたらしく
「私のアイデンティティーが吸い取られる!」
と、大げさなことを叫んでいました。
これが中2…。
親としては、
自分らしく、自然体でいればそれでいいんだよ。と思うけれど。
はやく、自分だけのアイデンティティーがみつかるといいね。